前回(第3回)では、バス停のベンチに座らないように孫に教えるお婆さんの様子を紹介しました。 今回は、バス停のベンチに座るとどういうことになるのか、過去10年ほどの間に私が実際に見た出来事のごく一部を、具体的に紹介したいと思うのです。
山陽新聞社前 ・TSC前(上り) |
イトーヨーカドー岡山店の目の前にある「山陽新聞社前・TSC前」のバス停での出来事です。 前回の記事では下り方向でしたが、今回は上り(岡山駅方面)方向の乗場でのことなのです。 この乗場にやってくるバスは、大まかに3種類あったのです(同じ行先の停車パターン違いは割愛)(現在は下記に加え、100円循環バス「めぐりん」も利用可能)。
このバス停、皆が立ってバスの来る方向を見ながら待つ中、ベンチに座って待つ年配の男性がいたのです(※男性がベンチに座るイラストが見つからなかったため、右図では女性になっています。また、現在はベンチは撤去されています)。 そこへやってきた3台のバス。 岡山駅行と天満屋行がバスベイをふさいで客を乗せている横を、岡電高屋行のバスが通過していったのです。 この男性が岡電高屋行に乗りたかったかどうかは分からないのですが、乗るつもりだったとしてもバスが来たことに気付けないのです。
岡電高屋行の運転手は、バス停を見ていないのです。バス停の方向を見ているだけなのです。もちろんベンチに座った男性は死角になって見えないのです。 運転手は、死角があることは気付いても、死角に客はいないはずと決めつけて通過していくのです。 どうしてこうなるのか。 客がバス会社を甘やかすのが悪いのです。
岡山のバス待ち客は、死角に立たないように動き回るのです。 一般的な岡山人(バス利用者)がバス停で待つときの動きはこんな感じなのです。
こんな感じで動き回る客ばかりなので、運転手は、まさか死角でじっと待つ客がいるなんて思わないのです。 つまり、客が仕方なく気を利かせて、自転車に引かれるかもしれない身の危険を冒してまで動き回って運転手を甘やかすから、運転手がつけあがってどんどん手抜き仕事をするという悪循環なのです。
南方交番前バス停のベンチ(下り) |
南方交番前(下り) |
南方交番前のバス停には、四角い囲いとベンチがあるのです。 このバス停の下り(岡山駅から離れる方向)の乗場では、岡電バス(妙善寺行、三野行、理大東門行)と宇野バス(三野・山陽団地・ネオポリス・湯郷温泉・林野駅方面行)が利用できるのです。
ある日のこと、このバス停で女性が待っていたら、宇野バスがやって来て停車し、乗降扱いをしたのです。 そこへ後ろからやってきた岡電バス。 女性は岡電バスへ乗るために、当然、先に来ている宇野バスの後ろに停車するだろうと宇野バスの後ろへ歩いたのです。 でも岡電バスはしれっと通過したのです。 慌てて宇野バスの前へと回り込むと、岡電バスはアリバイ工作のためにバス停のほうを見ながら徐行していたので(←斜め後ろに注視しながら前進する危険運転)、気付いた運転手が停車してドアを開け、女性はバスに乗れたのです。 運転手は謝るわけでもなく、ドアを閉めて発車したのです。 このように、岡電バスに乗るためには、客はあっちへうろうろ、こっちへうろうろしなければならないのです。
錦町バス停のベンチ |
岡山駅から市役所方面へ向かう岡電バス市内線が最初に停車する「錦町」バス停。 このバス停である日、高校生ぐらいの男女2人が仲良く座っていたのです。 道路を背にして座るベンチなので、2人は常識的に、道路を背にして座っていたのです。 そこへやって来たバス1台。 運転手がドアを開け、肉声で「福祉センター行で~す」(現在の健康づくり財団病院行)と言うと、 2人は座ったまま振り返り、行先を目で見て確認して、それから立ち上がった(振り返り始めてから~立ち上がるまで、約3秒)・・・のですが、バスはドアを閉めてすぐに発車したのです。
どうしてこうなるのか。岡電バスや両備バスの運転手は、ベンチに普通に座っている人がバスに乗るわけがないと思い込んでいるのです。 だからベンチに座っている人に気付いてもそのまま通過するか、乗せる気はないのに一応形だけは文句を言われないように停まってやろうかという気持ちで停まるだけなのです。
つまりバス停のベンチは、バスに乗り慣れていない人がバスに乗れないようにするための巧妙な罠なのです。 それを知っている地元民は、ベンチに座らず立って待つか、あるいはベンチに座ったとしても普通には座らずバスが来る方向に身を乗り出して、運転手が客を発見するより先にバスを発見し立ち上がり、バスがドアを開けたら3秒以内に乗り込めるように身構えているのです。