4月23日の様子 |
今日、運動がてら散歩をしていると、岡山県立美術館の近くの道端で不思議な標柱を発見したのです。 以前はこのようなものはなかったと思うが・・・。
4月23日の様子 |
近づいて見てみると、どうやら時刻表と系統図が貼ってあり、バス停のようなのです。 連絡先として宇野バスの電話番号が書いてあるので、宇野バスのバス停らしい。
気になったので、本当にバスが来るのかしばらく待ってみたのです。結果・・・来なかった。
誰がどう見てもバス停の標柱のように見えるのですが、待てど暮らせどバスが来ない。 どうやら偽物のバス停だと推測されるのです。
周りを見渡しても隠しカメラはないので、ドッキリカメラやモニタリングのような、イタズラして様子を楽しむテレビ番組の撮影ではないようだ。 いったい誰がこんな不審な標柱を道端に置いたのか? 人を騙して楽しむ愉快犯だろうか? それとも、宇野バスの評判を落とすために宇野バス停留所(の偽物)を立てた犯罪者がいるのだろうか?
偽バス停の掲示 |
実は、この標柱は、宇野バスが平成29年4月27日(木)に運行を開始する「岡山後楽園バス」のバス停の標柱だったのです。 ただし、撮影時点では運行を開始しておらず、偽物のバス停なのです。
掲示を見ると、上半分(岡山後楽園バスという表記はない)に、はっきりと時刻表が書かれているのです。 バス停を隅から隅まで舐めるように見るのが趣味だという人は別として、普通の人は、たとえば「次のバスは11:00」と確認したら、あとはバスを待つだけなのです。 わざわざ、「この時刻表は実は今日の時刻表ではないかもしれない」と確認したりしないのです。
薄い日付 |
下半分は岡山後楽園バスのチラシが貼られているのです。 なるほど、「岡山駅と岡山後楽園を結ぶ直通シャトルバス」という便利なものが「運行開始」する告知らしい。 よくよく見ると、背景色を薄くなった部分に白い細い小さい文字で「平成二十九年四月二十七日(木)」と書いてある。炎天下でまぶしいからあまり瞳孔を開けたくないのだが、読みづらいからやむを得ず目をぐっと開いて読んでみた。漢数字の「二」などは明朝体で細すぎて屋外で判別するのは困難だ。
それにしても、11:00のバスが来ない・・・、と待ち続けたところで、上半分の路線図と下半分の路線図が同じ形をしていることに気付いた。 待って損した。新幹線に間に合わない。タクシーを探さなければ!ということになりかねない。
さらに言えば、「外国人観光客にも乗っていただきたい」とアピールしており、掲示に英語もあるのですが、「平成29年4月27日(木)運行開始」に相当する英語はないのです。
特設ホームページにも、 まだ運行していないという情報はない。 |
後楽園方面行(4月23日撮影) |
このとき反対側(後楽園方面行)のバス停では、岡電バス(後楽園経由藤原団地行:運行中)と、宇野バス(岡山後楽園バス:まだ運行しておらず、4日後に運行開始)の時刻表を見比べながらバスを待つ家族連れの観光客の姿があったのです(左の写真は観光客がいなくなってから撮影)。
程なくして、宇野バス(教習車)がやって来て、バス停を少し通り過ぎたところで左に寄って停車したのです。 発車する気配がなく、車内で運転手と教官?が話しているようだったので、声をかけても問題ないだろうと判断し、ドアをノックしてクレームを入れたのです。
自分「あのバス停の掲示はなんなら(怒)! もう走りょうるようにみえるで(怒)?」
宇野バス「本社に言ってください。」
自分「なんでわしが言わんといけんのんなら(怒)? おたく、宇野バスの人じゃろ?」
と、和やか(?)な会話を交わした上で、クレームを言ったのです。
教習車 |
宇野バスが言うには「時刻表の下に運行開始日が書いてありませんか?」とのこと。 その後、いくばくか会話して、結果的には、宇野バスの人はバスから降りてきたので、一緒にバス停まで行って、「日付が薄いでしょ? しかも、上にはっきり時刻表が貼ってあるのだから、わざわざ下の掲示まで見るわけないでしょ?」と説明して、「ありがとうございました。」という返事をいただいて終わった。 この会話は大きめの声で話したので、バス停で待っていた家族連れの観光客にも、時刻表で1~2分後の便(宇野バス)は来ない、岡電バスだけ来るということは伝わったと思われる。
普通の人は、日常生活で、スーパーマーケットで買い物をするとき、電車に乗るとき、エレベーターでボタンを押すとき、弁当を食べるとき、24時間常に、1から100まで細かいことを確認しながら生きてはいないのです。 宇野バスの従業員だって、日常生活でわざわざ端から端まで文字を読みながら生活してはいないだろうに。
というわけで、今回のコラムのタイトル「バス停に最も必要な情報とは」の答えは「バス停が本物かどうか」なのです。
鉄道の駅や、一般のお店であれば、オープン前であれば、工事中の仕切りで囲まれているか、工事が終わっているなら「○月△日オープン」と大書されているのです。 万一、オープン日が書かれていなかったとしても、入口に近づいて自動ドアが開かなければ、オープン前(または潰れた後)だとすぐに分かるのです。
ところがバス停はそうはいかない。 バスが来るはずだと思って待ち始めたら、「実はバスは来ないのだ」と気づくのは困難なのです。 仮に30分待って来なかったとしても、バスは遅れるものだから特に不審に思わないのです。 こんなところに、バス会社が世間から信用されない理由の一端があると思ったのです。
例1 |
参考までに、バスが来ないバス停の正しい姿をいくつか紹介したいのです。
右の写真(例1)は、岡電バス「天神町(上り)」の臨時バス停(後楽園が渋滞で迂回する場合専用)なのです。丸い部分にビニールがかぶせてあり、時刻表の掲示はないので、無効なバス停だと一目で理解できるのです。 (ちなみに近づくと、本来の経路上のバス停「出石町1丁目」への地図が貼られている。)
例2 |
左の写真(例2)は、平成20年7月22日に新設された平田・北長瀬駅線のバス停の掲示なのです(運行開始の数日前に撮影)。 正式な時刻表は貼られておらず、あくまでも「運行開始のお知らせ」という見出しの告知の中で時刻表を紹介する形になっているのです。
例3 |
右の写真(例3)は、平成24年7月20日に、新たに路線バスの運行に参入した八晃運輸(めぐりん)のバス停の掲示なのです(運行開始の数日前に撮影)。 正式な時刻表の上から隠すような形で、運行開始日が貼られているのです(初日は運行開始のセレモニーがあったため、初便ではなく10:13から運行との掲示)。
・・・時刻表が見えないのが不便だが、まだ乗れないバス停だということはすぐに分かる。新規参入の素人のバス会社でも、これぐらいの社会常識は弁えているのです。
4月24日の様子 |
翌朝(4月24日)に現地を通ると、一番下に「お知らせ 四月二七日(木)から運行致します。宇野自動車株式会社」という掲示が増えていたのです。
話はそれるが、例えばお隣の広島県では、広島市内で「広島電鉄」、「広島バス」、「広島交通」といったバス会社(3つの「広島○○」は別々のバス会社である)が運行しているのです。 その感覚でこの掲示を見ると、(上部の時刻表)宇野バス、(中部のチラシ)岡山後楽園バス[宇野の表記なし]、(下部の掲示)宇野自動車株式会社、が同一だとどうやって判断すればよいのか疑問なのです。
「細かいことを言うな。見れば3つとも同じだとわかるだろう。」という声が聞こえそうですが、そういう人は下の写真(参考)を見ていただきたいのです。
(参考)正月ダイヤの告知の例 (年末の法界院駅前バス停にて) |
(左)岡電バス、(右)宇野バス |
(参考)の写真を見て、同じ標柱に貼っている掲示だからどれも同じバス会社だと判断して(←というより、別々のバス会社の可能性など思いつきもせず)、たまたま最初に目に付いた宇野バスの電話番号に、岡電バスについて質問したら、冷たくあしらわれそうである。