第80回平成30(2018)年

通勤途中に火事に遭遇した話
~映像だけでは分からないこと~

平成30年12月30日掲載

平成30年12月20日の朝の出来事

バスで通勤途中、前方に黒煙を発見

平成30年12月20日(木)の朝、バスで通勤していると、バスの進行方向前方に黒い煙がもくもくと上がっているのが見えたのです。最初は道に面した建物が火事だと思っていたのですが、バスが進んで現場を見ると、乗用車2台が事故を起こしていたようで、車が燃えていたのです。

私が見た時点では消防車は来ておらず、1台目の車の中が真っ赤で文字通り「火の車」になっており、車から空に向かって黒い煙がもくもくと上っていたのです。

けが人はいなかった

自分が見たときは消火活動は始まっておらず、1人だけ車の手前に立って、後続の車に左車線から離れるように合図をしていたのです。特に緊迫感はなく、のどかな雰囲気が漂っているように見えたので、おそらく不幸中の幸いで、死傷者はいないのだろうと感じたのです。実際、あとからニュースで確認すると、事故車の運転手は2台とも車から逃げ出して無事だったらしいのです。

(写真はニュースサイトの映像)

バスで追い越すとき、熱かった

爆発音が2回した

乗っているバスが「火の車」を追い越す間に、爆発音のような音が2回したのです(バス車内も1人1人が思わず声を出し、小声とはいえ通勤時間で人数が多いため全体としては騒々しくなった)。

=事故車、=自分が乗っていたバスの進路)

火事は熱いということ

火の車は一番左の車線、追い越すバスは左から3番目の車線。十分離れているにもかかわらず、追い越す2~3秒の間は体の左が急に熱くなったのです。自分の席はバス側面の行先表示器の背面で、追い越し中は火事が見えないにもかかわらず急に左肩の空気が熱くなったので驚いたのです。

(バス側面の行先表示器のイメージ。※火事現場に居合わせた車両とは異なります。)

映像だけでは分かった気になるのは危うい

現代は昔に比べ(ハイビジョンなど)映像が鮮明になり、新聞写真もカラー化され、映像を見ただけで分かった気になることが増えているのです。今回の火事も、映像を見れば「黒い煙=煙たい」、「炎=火」などと分かった気になりがちですが、火は「十分に離れていても、バスの壁越しでも、熱い」ということは分からないのです。

爆発音も、仮に録音したものを他人に聞かせても「ささいな小さな爆発音」としか感じられない。しかし現場にいたら、「たとえ小さな爆発で小石程度の破片が飛んできただけでも、当たれば大けがをする」、「小爆発に続けて大爆発が起きるかもしれない」という不安がつきまとう。

映像だけで分かった気になるのは危ういなと感じた年末の出来事だったのです。