第36回平成28(2016)年

3台目のバスでも乗れた話
~広島でのバス乗車体験~

平成28年12月29日掲載

広島市の交通事情

広島市でのバス車内にて
路面電車と重なるエリアの運賃は200円台に抑えられている(ただし郊外へ出ると一気に運賃が上がる印象)(平成21年に撮影)

広島といえば日本一の規模を誇る「路面電車」が有名な都市。通勤・通学客のみならず、八丁堀(お好み村)、原爆ドーム、宮島口(宮島へ渡る船の乗場)など観光客にも便利で、多くの人に路面電車が利用されているのです。

そんな広島ですが、路線バスも(岡山同様)多くの会社がひしめき合っており、広電バス、広島バス、広島交通、芸陽バス、中国ジェイアールバスなどが運行しているのです。

路面電車と路線バスが競合する広島駅~八丁堀~紙屋町間では、バス運賃が、路面電車の市内均一運賃と同額の160円に抑えられているものの、それ以外の区間ではバスの運賃のほうが高いのです。 とはいえ市内近距離区間のバス運賃はおおむね200円台に抑えられており、たとえば「バスに乗り続けるよりも、路面電車の均一160円区間を最大限に乗車してから末端でバスに乗り換えるほうが安い」ということが起きないような運賃設定になっているのです。

また、バスは、路面電車とは微妙に経路を変えるように工夫されており、たとえば江波(えば)方面では、路面電車とバスで、都心部(紙屋町・八丁堀)までの経路が異なっているのです。

江波エリアの路面電車・路線バス
路面電車6号線江波~十日市町~紙屋町~八丁堀~広島駅
8号線江波~十日市町~横川駅
運賃は市内均一160円
路線バス広電バス
6号線
江波方面~市役所~紙屋町~八丁堀~牛田方面
(江波エリアでは、路面電車の終点「江波」よりも南部まで運行)
江波方面からの運賃は190~260円
※ 運賃は平成26年4月1日改正(消費税8%時点)の金額

3台目のバスでも乗車できた

おそらく10年ぐらい前だと思うのですが、「地元以外でバスに乗る体験」をするために半日ぐらい広島でバスを乗り降りした際に、印象に残る出来事があったのです。

JR横川駅から北へ1~2個すすんだバス停まで行き、上りのバス停でバスを待ってみたのです。 そのバス停から上り方向は、次の3種類のバスがあったのです。

JR横川駅のやや北エリアからの上りバス
八丁堀・広島駅行横川方面→原爆ドーム→紙屋町→八丁堀→広島駅
バスセンター行横川方面→広島バスセンター(紙屋町エリア)
センター・広島駅行横川方面→広島バスセンター(紙屋町エリア)→広島駅
(広島BC→広島駅間は、合同庁舎前、女学院前に停車)

そこで自分は「女学院前」バス停まで行きたい客のつもりになって、バスを待ったのです。

ほどなくしてバスが3台やってきたのですが、1台目・2台目は別のバス。3台目のバスは最初は行先が見えなかったのですが、車体全体の雰囲気からバス停に止まる気があることは分かったので安心して待つことができたのです。

1・2台目のバスが降車扱いを終えて発車した後、3台目のバスの行先を見ると「センター・広島駅」だったのです。 岡山であれば慌ててバスを停めなければならないところですが、このときのバス運転手は私がバス停にいるという姿が見える前から左に寄ってきたのです。

岡山では「バスは不便」というイメージが定着していますが、もしかしたら「バスが不便」なのではなく、「バスは便利だが、岡山のバスが異常」なのではないかと気づくきっかけになった出来事だったのです。