台北市内の移動手段としては、バスと地下鉄(メトロ)があるのです。事前に両方の乗り方は調べてあったものの、異国でバスに乗るのは難しいというイメージがあり、地下鉄を利用するつもりだったのです。
ところが、スマートフォンで Google Map を使い宿から目的地までの経路を検索すると、徒歩+地下鉄の経路だけでなく、路線バスを利用する経路も表示されたのです。とりあえずバス停で10分間ほど、次々やってくるバスと乗り降りする人の姿を眺めていたら、自分も乗れそうな気がしてきた。
というわけで、観光の移動手段は路線バスを利用することにしたのです。
Google Map で経路検索すると、バス停の位置や路線番号が表示されるので、バス停で、乗りたいバス停の路線番号が書かれている場所で待ちます。台湾は車が右側通行です。バスの進行方向とバス停の位置関係が、日本と逆になりますので注意が必要です。
台湾のバスは「手を挙げて止める」方式です。バス停で待っている人がだれも手を挙げなかったら止まりません。その代わり、スピードは速いので便利です。自分が乗らないバスが来たときに様子を見ていると、バス停を舐めるように確認しながら通り過ぎて行ったので、「手を挙げても止まらない」ということはなさそうだ。
ガイドブック等では、バスが見えたら早めに手を挙げるように推奨されています。バス前面には路線番号が(日本のバスより)大きくハッキリ表示されており、遠くにいるうちから視認できた。
台北市内で近距離乗車に利用したバスでは、前ドア・中ドアのどちらから乗車しても問題なかった(ICカード「悠遊カード(Easy Card)」を利用した)。ただし、現金で利用の場合、前払いのバスだったら前ドアから乗車して運転手横の運賃箱へ。
バス運賃は前払い・後払いの両方のパターンがあった(利用区間によっては乗車時・降車時の両方で払う場合もある)。新型の車両ではドア付近に電光表示があり、外から「下車収費」(後払い)か、「上車収費」(前払い)か確認できた。
自分が乗るバスでは車体外側に「○○収費」の表示がなかったので、運転手に質問するために前ドアから乗った。自分のICカードを指さして「これは?」と日本語でつぶやいたら、運転手が天井を指さした。運転席の頭上に「下車収費」と表示されていたので、カードはタッチせずに乗車した。天井の表示は、運転手の頭上だけでなく、中ドアの対面上側(中ドアから乗って正面に見える窓の上側)にもあった。
台湾のバスは客が座るのを待たずに発車する(事前に調べた通り)。とはいえ、危ないとは全く感じなかった。
最初に乗ったバスは、運転手の横を通り過ぎて通路へ向かったぐらいで発車したが、無意識に手を動かしたらすぐに捕まる物があったので平気だった。別のバスに中ドアから乗車した際も、車内に入って上を見上げて「上車収費」の表示を確認し、ICカードをタッチして、段差を通路まで上がるという一連の行動を、慌てずこなす余裕はあった。地元の岡山で見かけるような、段を上がる前からじわじわと動き始めたり、ICカードをタッチする前に動き出すようなバスはなかった。
着席前に発車したとはいえ、どのバスも同じタイミングで発車したことと、手を伸ばせば捕まるものはどこにでもあったことから、危ないと感じることはなかった。
非常口には「緊急出口」と書かれていた。側面だけでなく、天井にも「緊急出口」があった。
降りるバス停が近づいたら降車ボタンを押す。ボタンは「下車鈴」などと表記されていて、窓際、通路の握り棒など至る所にあるので、迷うことはない。
台湾のバスは「バス停に着くまでにドアへ行っておく」方式。ICカードの場合は前ドア・中ドアのどちらから降りてもよい。現金で、降車時に払う必要がある場合は、運転手のいる前ドアへ。
まずは、降車ボタンを押すタイミングが悪くて、うまく降りられなかった失敗談を記したい。
失敗を繰り返して私が得たコツは次です。
バス停が近づいたら、バス停名が車内放送で流れ、車内前面にもバス停名が表示されます。これを見て、目的地のバス停ではないからと言って安心してはいけません。電光表示を見続けましょう。
バス停を通り過ぎるタイミングで、電光表示に、現在地の次のバス停名が表示されます(漢字・英字の両方)。このとき、音声は流れません。しかも、1回だけバス停名が表示されたら、そのあとは「バスの乗降の際は安全に注意」などの文章に変わります(下の写真)(再びバス停名が表示されるのは、バス停が近づいてきて車内放送が流れるとき)。バス停を通り過ぎるときに前面に注目!がコツです。
事前に「Bus Tracker Taipei」というアプリを、スマートフォンにインストールしておいたのです。Google Map の経路検索で乗車するバスの系統番号を調べてから、このアプリを使うと便利です。
Bus Tracker Taipei のアプリを起動して、「路線探尋」のメニューから路線番号を入力すると下記のような画面が表示されます(例:651系統)。今回は「台北市政府」行を利用するのでこの画面でOK。逆方向の場合は「往板橋」をタッチすれば板橋行に切り替えできます(「往~」が「~行き」の意味)。
バスの位置と、各バス停の待ち時間がすぐに分かります。画面は自動的に更新されます。
画面右上の丸いマークをタッチすると、651系統のバス停の中で現在地に一番近い場所に自動でスクロールします。
Segmentation Begin から下のグレーの範囲は、分段緩衝區(運賃の境界の緩衝区間:後述)です。グレーの範囲を超えて下車すると、運賃が高くなります。
バス車内では運転席の背面やドア付近などに車両番号が書かれています(写真の「846FR」)。
アプリの画面で(右上の丸いマークで)現在位置までスクロールすると、同じ番号が表示され、自分が乗っているバスが「651」系統の「台北市政府」行だと確認できます(表示されない場合は逆方向「板橋」行の画面に切り替えてみる)。
台北市内でバスを4回利用した。渋滞もなく、1回15分~30分ぐらいの利用で、毎回15台湾ドル(現金・ICカードとも同額、日本円で約60円)だった(平成29年7月時点)。
現金の場合、おつりは出ない、車内で両替もできないらしい。しかし激安運賃なので気にしない。自分はICカード「悠遊カード(Easy Card)」を利用したので問題なかった。
台北市内のバスは、路線ごとに定められたゾーンを超えると運賃が上がる。15台湾ドル×乗車したゾーンの数が実際の運賃になる。市内の普通の移動に使うバスは、路線の端から端まで乗っても2ゾーンのようだった。通常利用では1ゾーンに収まるので、実感としては均一運賃と言って差し支えない。
下図のような、2ゾーンの路線を例に挙げる。矢印がゾーン、■○●がバス停。ゾーンとゾーンの境界は重なっていることが多い(図のグレーの範囲で、分段緩衝區と呼ばれる)。
上図のような2ゾーンの路線では、路線の前半では上車収費(前払い)、路線の後半では下車収費(後払い)になるようだった。基本的には乗車時・降車時のどちらか片方だけ運賃を払うが、数少ない(?)2ゾーンにまたがって利用する客は、乗車時と降車時のそれぞれ1ゾーン分の運賃を払い、計2ゾーンの運賃になる仕組みのように見受けられた。上図を右方向に進むバスの場合、次のようになるようだ。
台北市内でバスに乗ってみたいけれども一般のバスは不安という方は、値段は高くなりますが、観光客向けのバスもあります。
平成29年1月中旬に運行開始したバスで、台北駅から北方向(故宮博物院)へ進むルートと、西方向(台北101方面)へ進むルートの2つ。日中はどちらも40分間隔で運行。ホップオン・ホップオフのバス(観光地を巡りながら循環するバスで、乗客は好きな観光地で降りて自分で観光~その後は後続のバスに乗って次の観光地へ向かう、というのを繰り返すためのバス)です。
運賃は1日乗車券の場合で700台湾ドル(約2,700円)(平成29年7月時点)。移動中も、天井のないオープントップバスの2階席からの開放的な景色を楽しめるのがメリットです。
自分は利用しなかったので、詳しくは公式サイト(https://www